第41回「江ノ島」長井幹太(4年生)
夏のある日。
私は江ノ島にいた。
天気はどんよりとした曇り空だったが、おかげで過ごしやすい気温だった。
待ち合わせ時刻の2、3分前に片瀬江ノ島駅に着き、駅を出てすぐのファミマの前で待っていると、改札の方から歩いてくる、待っている人物が見えた。
私が待っているのは、大学で1番の美女。
ではなく、部活の同期の真っ黒な男だ。
男の名は高橋薫平。彼ほど「くんぺい」という名前の響きが似合う人物はいないと思う。仏のような雰囲気を全身に醸し出している。
仏が歩いて来るのを見ながら、開口1番、何を言うか想像していた。だが、彼が口にした言葉は、考えていた言葉のどれでもなかった。
「ごめん、待った?」
衝撃が走った。動揺した私はこう答えた。
「全然待ってないよ」
答えてすぐに後悔した。この問答、完全に恋人同士のそれである。なぜよりによって、江ノ島というデートスポットで、この恋人のような会話を、真っ黒な仏としなくてはいけないのか。
そもそも、今は待ち合わせ時刻の1分程前だ。遅刻していたら分かるが、しっかり間に合っている。待っているわけがない。
おそらく、私に辱めを与えようとして言ったのだ。そうに違いない。
仏の皮を被った悪魔だ。今度、私が彼との待ち合わせで、遅れた時は同じセリフを言って、復讐したいと思う。
今回は、大学生活での印象的な出来事をブログにしてみました。書くことを色々と考えましたが、またふざけたブログになってしまいました。次こそ真面目なブログを書きます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。